流産以来、私はあまり夢を見なくなった…
30代半ば、二人の子供を抱え、生活と戦っていた私は
正直、夢を見るゆとりすらなかったのかもしれない!
あれから30年余り、60代後半になった私は80代後半の母の介護をしていた。
母はとても元気な人で2,3年前まで自転車に乗っていたほどだ。
すっかり体も弱くなり、この半年ほど前から肺炎や、インフルエンザを患い
入退院を繰り返していた。
5月13日。末妹の夢を見た。
末妹は体が弱く、40年ほど前に他界しているのだ。
妹に「母ちゃんがめっきり体力がなくなってきたよ~」
「こちらにいられるのも、もう、そんなに長くないと思うわ」
「○○ちゃんは早くに母ちゃんと別れてさびしかったよね~」
「母ちゃんがそちらに行ったら、うんと甘えなさい」
「わがまま言ったって良いんだよ」
「一人でさびしかったんだから~と、甘えなさい」
そんなことを話して目が覚めた。
家から徒歩で20分ほどのところに妹のお墓がある
私は墓の掃除、草取りをし、花を飾りお参りした。
家に帰って20分ほどした頃、病院から「お母様の意識がない」と電話。
「すぐに来てください」と言われ急いで駆け付けた。
リハビリをしている途中、意識を失ったと!
検査の結果、「脳梗塞の疑いがあるから医師会病院の方へ緊急搬送します」と
私は「○○ちゃん、そんな、急に、まだ、待って、もう少し待って」
胸をドキドキさせながら救急車の後をついて行った。
脳梗塞、3か所が白くなっていた。
左半身マヒ、話すこともできない。
時々、意識が戻るのか呼びかけに涙目で反応することもあるが
大半は意識なく眠り込んでいた。
ひと月半ほどそんな状態が続いていたが6月29日妹の待つ虚空へと旅立っていった。
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